私たちが飼っているペットがまた雄のオオカミペットに特有の独立心に富む自信に満ちた態度で子どもたちを非常に慕っていたために問題はますます複雑になった。
この従順な奴隷つまり何が何だか分からなくなってしまった侵入者が子どもだちの寵愛をうける地位を占めてしまったためにひどく誇りを傷つけられたことは理解できる。
両方のペットについて等しく抱いていた私の恐れは今にも現実のものと成りそうだったかそれでも差し当たっては平穏であり新来者のおずおずした態度がともかく戦闘開始を食い止めていた。
しかし概して私はこの新しい掘出し物に夢中になるわけにはいかなかった。
爆発は不可避だった。
私は家の最上階にある浴室の前の小部屋に引き籠った。
すると程なく私の平和な瞑想は激しいペットの戦いの物音とその中から聞こえる助けを呼ぶ小さな引き裂くような悲鳴にうち破られた。
私はズボンを片手に階段を真っ逆さまに駆け下り家の前で演じられている身の毛もよだつ様な光景を目撃した。
激しく戦っている二匹のペットとその下からにゅっと突き出しているものそれは私の小さい娘の足だった。
私は脱兎のごとくかけ寄り両手でそれぞれのペットの首をつかみ超人的な力をもってペットを分け娘を助け出そうとした。
仰向けに引っ繰り返りそして自分でも二匹を引き離そうと両方のペットの首をしっかり掴んで居たのだ。
やがて話してくれたところによるとメスのペットは二匹の間の地面に座り考えた挙句仲直りさせる目的で両方のペットを同時に撫でて遣った。
所が当然ながらそれが逆効果となり二匹のペットはお互いの喉元目掛けて飛び付いたのである。
両者を分けようとして地面に投げだされ踏みつけられても手を放そうとしなかった。
どちらかが自分を傷つけるかもしれないという考えは一瞬たりとも頭には思い浮かばなかったのである。

イヌを選ぶことと決心することはいつでもむずかしいものだ。
特に犬を手に入れる時がそうだ。選ぶに当たっては、非常に多くの、様々の品種のイヌが居るからである。助言者は、将来の飼い主をよく知っていて、飼い主が自分のイヌに何を望んでいるかをわきまえているかぎりでのみ、知恵を貸すことかできる。
たとえば、その愛情と保護を惜しみなく与えるための対象を求めている感傷的で孤独な老嬢は、チャウチャウ大の超然とした性質には殆ど慰めを見出すことが出来ないだろう。
このイヌは肉体的な愛撫を受ける事を潔しとしないし、そのお返しは他のイヌのように飛び付く代わりに、女主人に向かってよそよそしく尾を振るだけだからである。主人のひざに頭をのせては琥珀色の目で見上げ、引き続き何時間も献身的な愛情の籠った目で見詰めている愛情のこのものを本当に感化することができる。
同じことは元気なイヌについてもいえる。
そんなわけで私は、ある種のお道化たイヌに人気が集まっていることは、概ねわれわれが陽気な気分を求めているからだと考えている。
テリヤのふざけ好きの性質と主人に対する忠節は、陰気な性質を持った人にとって本当に気持の支えとなるものだ。
生の喜びに溢れた、この可笑し気な小さい生き物が、房ふさと毛の生えた短すぎる足でころころと転まやかなイヌを求めている人には、これに似た毛が長くて耳も長い品種をお勧めしたい。私個人としては、この種のイヌは些か感傷的に過ぎると思う。

心配事をどっさり抱えているうえに、とてつもない核戦争の脅威に晒されている今日、我々が悲しみに沈む理由なら幾らでもある。
そこで、同じような気性を持っていて、時々やってきては優しいけれど深いため息をついて自分の存在を知らせる生き物と不断に接触することは、恐らく多くの人間にとって望ましい事では無いだろう。
友人の悲しい、あるいは喜ばしい気分は人に大きな影響を及ぼすものだ。
一人の落ち着いた人柄や快活な個性は、その周囲テリヤを飼っている私の友人の呼び方に従えば、歩く乳首がるように近づいてきて首をかしげ、分別臭さと無邪気さの入り混じった表情で主人を見上げては遊びに誘うのを目にして、誰が笑わずにいられようか?。
イヌに個人的な伴侶だけではなく、損なわれていない自然の一面を求める人には、基本的に異なったタイプのイヌをお勧めしたい。
私自身は野生のときの形質を余り無くして居ないイヌが好きだ。
私のチャウチャウ犬とシェパードの混血種は、その野生の先祖に肉体的にも精神的にも非常に近い。
イヌか家畜化によって型が変えられることが少ない程、野生の肉食獣の資質を一層多く保持していることになり、私にとってはその友情が一層素晴らしい物に思える。
この理由から、私は、訓練によってイヌの本当の性質が酷く損なわれる事が嫌いだし、多大の厄介事を引き起こし、高いものに付く事に成ったとしても、私のイヌが野生の狩猟本能を失わないようにさえ願っている。
彼らが飛んでいるハエも殺せぬ大人しい子ブタのような動物であったら、于どもたちを安心して任せる事などは気が進まない。
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